「あがり症」は、ひどくなると社会不安障害となってしまいます。
そうなってしまうと、カウンセリングなどで治療をしながら良くしていくしか、改善するのは難しいのが現実です…。
あがり症の人は、他人の目を過剰に意識してまう「自意識過剰」の部分が普通の人よりも強いと言われています。
そのせいで、自分以外の「他人」がいる場面では、常に症状が出てしまうかもしれない…という不安で頭の中がいっぱいになってしまうのです。
私も、そのうちの一人。
私の症状は、外見で分かるものなので、日常生活をするうえで支障をきたすことが多々あります。
本当は、電車に乗るのも、外を歩くのも、億劫…。
症状がでてしまう可能性がある…と脳が察知すると、そのように思考回路が働きます。
すでに、この時点で「事実として起きてもいない出来事」に対して、不安を抱えてしまっているのです。
これを、「予期不安」と言いますね。
もう何30年以上も前のことですが、最初の異変に気がついたときから、この予期不安は始まっていて、それによって症状もどんどん酷くなっていきました。
私は、なんとか学校を卒業して、現在は社会人生活も送っているので、まだ良い方なのかもしれません。
でも、辛い思いは今でもしています。
若いときほど、症状は酷かったです。
会社の面接はボロボロでしたし、それでもなんとか高卒で会社に入れたのですが、電話でちゃんと喋れなくて会社をすぐに辞めたこともあります。
事務職なのに、電話が取れなきゃ仕事になりませんしね…。
その後も、新しい仕事に就きましたが、相変わらず会社でも私生活でも、症状で悩む日々が続きます。
そんな自分の為に、今までカウンセリングや治療をいくつか受けてきましたが、どれも合わなくて途中で挫折してしまいました。
時々、この症状を呪いたくなることもあります。
「何で、こんなに辛い思いをして生きなきゃいけないの?」
「何で、治すのにこんなに苦労しなきゃいけないの?」
ただ、「普通」になって、「普通」に過ごしたいだけなのに…。
「何で私だけ?」
って。
1人で緊張してあがって恥をかいて苦しむ…という無限の負のループからいつ抜け出すことができるのだろうか…。
もう、治らないのかな…。
一生、このままなのかな…。
と、何度諦めたことか。
でも、心の奥底には希望を持っていたんですよね…。
「諦め」の気持ちと、本心にある「希望」との間で悩むこともありますが、少しでも自分への慰めになればいいなと思って、最近、電子書籍を購入して読んで見ました。
今回ご紹介する本は、単なるあがり症の克服本ではないものを選んでいます。
あがらない為にする対策ではなく、それ以前にどういう思考回路であがり症になってしまうのか、ということが知れる内容の本だと思いました。
もちろん、この本を読んだからと言って、治るわけではありません。
でも、今までの悪い思考を作り上げてきたのは自分で、その思考を変えられるのは、これまた自分にしかできないこと。
日常生活に支障をきたしているくらいの私にとっては、もう一度客観的に理解するために読んでみて良かった本です。
『森田療法で治す「不安症・強迫症」: 正しい理解と乗り越え方 (心のお医者さんに聞いてみよう)』
著者 | 中村敬 |
発売日 |
2022年6月16日 |
発売元 |
大和出版
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☆電子書籍版もあります。
あがり症である自分のことが、客観的に理解できる本です。
図解が多く見やすくて、分かりやすいのが特徴です。
おもに、森田療法についての考え方を知ることができます。
症状で苦しんでいるときの自分って、冷静になんてなれません。
実はそのときには、行動と気持ちには行き違いが生じているのです。
それは、何となく私も分かっているつもりですが、詳しい説明はできません…。
では、実際に脳と体の中では何が起こっているのか?
そのときの脳や体の動き。
そして、この思考回路。
だから、もっとひどくなるのね…。
そんなことが、図解によって分かりやすく頭に入ってきました。
あがり症以外には、不安障害、パニック障害、などの社会不安障害全般の症状について「なぜそうなるのか?」という考えや思考回路、行動についても知ることができます。
図解が多くて易しいので、森田療法を知るための最初の本としてもおすすめです。
『あがり症は治さなくていいー大切なことはアドラーと森田正馬に教えてもらった』
著者 | 佐藤健陽 |
発売日 |
2018年2月26日 |
発売元 | 旬報社 |
☆電子書籍版もあります。
YouTubeでも活躍されている方の本です。
世の中に治療法はたくさんあって、合う方法も人それぞれですので、著者の方法を真似すれば治るというわけではありませんし、真似することは実際には難しいです。
ですが、克服された方のお話は、希望に繋がりますよね。
著者自身、アドラー心理学や森田療法を学んで克服したことを元に、著者の視点からあがり症について語られています。
時折、参考として出てくる「アドラー」と「森田正馬」の言葉には、納得するしかありません(学びにもなる)。
どうしたら今の思考から抜け出せるのか?
今の辛い症状が良い方へ向かうためには、どうしたらいいか?
ということを著者の体験を交えながら、教えてくれる本です。
語り口調で、提案してくれたりしながら、教えてくれます。
あがり症である自分への見方が、少し変わるかもしれません。
変わらなくても、こういう見方(考え方)があるんだって、思考の引き出しが増えることは良い事です。
もちろん、著者が実際に、重度のあがり症を克服するまでの体験談も書かれていますよ。
私が参考にしているのは、おもに思考についてです。
今でも人前に出る機会がたまにあるのですが、その日の朝には必ずこの本を読んでいます。
どうしてかというと、
私のあがり症のやっかいなところは、一人で家にいる分には気にならない…というところです。
なので、普段から治そう治そう…って毎日思っているわけではありませんし、改善する為に毎日特別に何かをしているわけでもありません。
だから、たくさんの人前に出る機会があるときは、大きな予期不安が襲ってくるのです。
今までカウンセリングや治療を受けたことがありますが、どれも途中で挫折しています。
でも、それによって、いろんな考え方を知ることができたのも事実。
そこで学んだことは、自分への悪い暗示を良い暗示で上書きしていくことだったり、開き直りが大事ということでした。
昔よりも今のほうが、まだ「まし」になっているのも、そのおかげでなのかもしれません。
(決して、無駄ではなかった。)
それ以降は、特にカウンセリングや治療をしていないので、今でも完全に治ってはいません。
この本は、私が学んできことと思考が少し似ているところがありました。
だからこそ、本番前にこの本をよんで、潜在意識にあるマイナス思考を無理やり変えるようにしているのです。
この本のタイトルにある【治さなくていい】という言葉は、「何もしなくていい」とか、「諦めた方がいい」という意味ではありません。
それが何なのか、その意味は読んで見てほしいです。
わたしは、少し気持ちが楽になりました。
症状は人それぞれ。
ですが、感じる辛さはきっと同じ…。
あがり症で悩んでいる方にとって、著者があがり症を克服して得た考え方は、少しでも良い方へ向かう為に参考になるのではないかなぁと思います。
最後に
私は今までに、カウンセリングや治療を受けたことがあって、どれも途中で挫折してしまっているとお話しました。
それでも、考え方や言葉など、取り入れられる部分はいくつかあって、決して無駄ではなかったと思っています。
その上で、今回読んだあがり症に関する本の考え方などがプラスされていき、
思考というか違う考え方を知れたことで、これまでは不安をさらに不安で埋め尽くしていたのですが、不安に駆られたときや症状が出たときの自分への対応を客観的に見る方向へ無理やり持って行っています。
「今、私の中では…と」今起こっている自分の症状を、自分に説明するような感じです。
冷静になれなくてもいいから、それでもやっています。
過去にしてきたマイナスの言葉での思考や行動は、潜在意識に染みわたっているので、
その長年の負の思考回路を壊すには、新しいプラスの言葉で良いループを無理矢理にでも植え付けていくしかありません。
私は自分にこう問い掛けるときがあります。
「どうなりたいのか?」
答えは、
「日常生活や社会生活で気にしなくなるくらいになりたい…。」
そう、本音は隠れているんです。
上辺では、どうせ治らないし…と諦めているはずのに…。
時間は掛かってもいいから、本当は今でも治したい…。
そう思っているから、諦めた今でも本を購入して読んだりしているんですね。
あがり症の治療法は、世の中にたくさんあります。
だからこそ、選ぶのも一苦労。
でも本なら、いちばん簡単に手に取りやすいし、いくつか購入して読み比べてみることだってできます。
もしも自分に合う本に出会えたら、そのカウンセリングや治療を試してみようと思えるかもしれません。
本や情報は、さまざまな考えを知る、良い機会を与えてくれるものです。